柔道代表・阿部選手は、なぜ3連敗の難敵を攻略できたのか?
失敗や敗北、ライバル(恋敵)出現やピンチと聞くと、苦痛や挫折のイメージが先行し、どうしても「嫌だなぁ」「苦しいなぁ」と後ろ向きな気持ちになってしまうのではないでしょうか。そんな困難を前にした時に他人もしくは自分の内なる声から「前を向いて立ち向かって行こう」と言われても、できることなら逃げ出してしまいたい、そこまでして苦難を乗り越える必要はないだろう、とよりチャレンジしなくてもよい楽な状況に身を置いてしまうこともあるかも知れませんね。
仕事や恋愛もそうですが、勝敗や結果がはっきり出るのがスポーツの世界でして、勝ちにこだわるスポーツ選手の心の持ち方から学べることは多いです。1度や2度の失敗や敗北でも、「もう自分は勝てないな」「ダメだな」と諦めてしまう方がいらっしゃると思いますが、特にそれが3連敗となりますと、圧倒的な実力不足を嫌でも痛感し、もうそこに立ち向かうことすら億劫になってしまうでしょう。
男子史上最年少で講道館杯全日本体重別選手権を制し、東京オリンピックでの活躍を期待されていた柔道男子66キログラム級代表の阿部一二三選手の代表選出までの道のりは平坦ではありませんでした。2018年の世界選手権連覇の後、ライバルの日本人選手に3連敗を喫しトップから陥落。特に最後の敗退は、相手選手の気迫に圧されるように後退してしまったそうです。
その後、代名詞の担ぎ技に加え足技を磨き、試合で前に出る自らの姿勢を貫いてライバルとの死闘を制し、代表内定を勝ち取りますが、内定までの過程を振り返り、阿部一二三選手は「苦しい時期を乗り越えれば成長できる」「ライバルがいたから強くなれた」と語っているのが印象的でした。
失敗した時、ピンチの時にどう考え、どのように行動していくのか。結果を真摯に受け止め、自分に足りないものを補い、強みを伸ばすことで成長すること、変化に対応できることができたとするならば、その失敗やピンチは、いろいろな意味で大きなチャンスでもあると言えるのではないでしょうか。阿部一二三選手のコメントは、問題が問題ではなく、その問題をどのように捉えるかで切り開ける未来があるということのヒントを与えてくれているように思います。
(記事:スタッフ)