愛と信頼の欠如が問題行動を引き起こす
■ 自分の中に信条や正しさを持つこと
こちらは悪いことではないのですが、人にそれらを押し付けることが人間関係の弊害になります。自分の信条や正しさが必ずしも人の問題を解決するわけではないということです。人の理解不能な行動を目にした時、どうしてそのような行動をとるのか、どうすれば解決できるのか、に焦点を当てることで、本質的な問題が見えてくるケースもあります。
恋愛に限らず人間関係の問題が跡を絶たない環境や集団の中心には、愛着に関する障害を持った人物がいることが少なくありません。深刻な場合は「愛着障害」と診断されることもあるのですが、軽度、中度のものは見過ごされ勝ちで、人を是正しようとする側とされる側の正しさの衝突がしばしば人間関係はさらに悪化させていきます。では、何故愛着に関して障害が起こると人は問題行動をとるのか、そしてその問題行動はどのようなものがあるのか、というところから見ていきましょう。
そもそも愛着とは何かを考えますと、心理学的には子供が母親や父親との間で築かれる心理的な結び付きと考えられているようです。生後数ヵ月で日常の世話やコミュニケーションを通じて、母親、父親などを特別な存在と認識するようになり、甘えや自分が受け入れられることの喜び、コミュニケーションの楽しさを体験していきます。不安や恐怖、心身の苦痛に直面した時に、母親や父親を心の拠り所とすることで、物事に立ち向かう積極性やストレス耐性を身に付けていくと言われています。
ところが、幼少時代に虐待や育児放棄、無視など何らかの原因で十分な愛情を感じられずに育ったならば、大人になってからも、傷付きやすく、意地っ張りになり、怒りの感情に火がつくと話し合いができないほど激情したり、何でも好きか、嫌いかなど極端な判断しかできなくなってしまったり、といった情緒面で不安定になることがあります。対人関係では、人と適度な距離がとれず、過度に慣れ慣れしかったり、敵意や恨みを抱いたり、目先の感情や情報に流されやすいというのが共通した特徴でしょう。情緒面、対人関係が不安定になりやすいため、うつ病など精神疾患も発症しやすいと言われています。
こういった愛着に関する障害がある人に必要なものは、心の拠り所となる人物です。それは、赤ちゃんの母親のように、見返りを求めずに無条件に自分を受け入れてくれる、安心感に溢れた存在と言えるでしょう。もし、意図しないほうに外的な圧力で動かそうとたり、行動を否定したりすれば、過剰反応を示し攻撃性という問題行動で返ってくることでしょう。逆に言えばですね、過度な二面性を有しておりますので、母親が赤ちゃんに接するような無償の愛を持って臨み、その人物の心の内側に入ることができたばらば、敵意のある態度から手のひらを返したように従順になる可能性もあるということです。
(記事:スタッフ)