先手と後手、有利なのはどちらでしょうか?
曲がり角や分岐のない、人がすれ違えるほどの幅、一本道の通路を歩いているとします。すると、100メートルほど先の正面に気になる異性(面識のある)の姿を確認。こちらに向かって歩いて来ますが、50メートルほど迫っても自分の存在に気付いていない….。
そんな時、あなたならばどうしますか?
先に自分から会釈やあいさつをする、先手をとるか、それとも相手が自分より先に何らかのアクションを起こすのを待つ、後手をとるか?
この場合ですね。
コミュニケーションの専門家の方などは、先にこちらからアクションを起こす、すなわち“先手必勝”を推奨されます。
これには、自分から相手に好意を示すこと、頭を下げること、先手の行動により対人関係の(自分側の)“ハードル”を下げる効果があると言われています。ですので、会釈やあいさつをされた相手側としては、自分が受け入れられているという安心感があり、「自分からもアプローチしてもよい」と感じるそうです。
こういう話をしますと、「コミュニケーションは先手必勝だからガンガン自分からアプローチするべき」そんなイメージで思われる方もいらっしゃるかも知れません。ですが、先手をとるということは、自分の気持ちが相手に向くことです。会話は言葉や気持ちのキャッチボールに例えられ、先手は“ボール”を相手に投げる行為に当たります。つまり、自分の好意という“ボール”を相手に委ねることになります。
当然、相手の反応が多かれ少なかれ気になり、相手が言葉や何らかのアクションで返してくれれば、自分の気持ちが届いたと安心するかも知れませんし、作り笑顔や無視に近い薄い反応をされたら「どうして?何か嫌われることでもしたかな」と不安な気持ちになるでしょう。
このようにコミュニケーションにおける先手と後手を考える時。相手の出方を伺い、相手の気持ちを安心させたり、不安にさせたり操作できる、この点では後手が有利と言える場合もあると思います。
また、気になる異性と一本道の通路ですれ違う時。
こちらが何もしない場合、相手がどういう言動をするのか、相手の出方を伺うことで、自分に対する相手の気持ちがある程度わかります。
例えば、相手がですね。
↓
① 満面の笑みであいさつ
② 軽い会釈程度
③ ほぼ無視に近い
こんな対応をしたとしますと、相手の自分への好感度は以下となります。
↓
①大
②中
③小
上記のように相手が先手としてアクションを起こした場合。
↓
①満面の笑みであいさつ(好感度大)
→満面の笑みで返す(好意の増幅)、冷たい対応(相手がもっと追いかけたくなるよう仕向ける)
②軽い会釈程度(好感度中)
→軽い会釈、時おり笑顔や冷たい対応を交え「嫌われたのかな?」と揺さぶり、気持ちを向けさせる
③ほぼ無視に近い(好感度小)
→あいさつや会釈で反応を伺ってみる。それでも反応が悪ければ、自分に興味を持っていない可能性がある。
などの後手が想定されます。相手に自分の存在に気付かせ、まず先手を打たせること。後手だからこそできる、相手の先手を踏まえた対応もあると思いますよ。