喜怒哀楽を爆発的に刺激する方法
日々、何も感じない、記憶に残る出来事が何もないとすれば…
生物学的に人(ヒト)の脳について考えてみます。
情動、記憶、感覚、判断など精神・本能作用の中枢を担う持つ大脳が死に、呼吸など生命維持に最低限必要な小脳や脳幹が生きている状態を植物状態と言います。植物状態とは人形や植物と同じようなもので、問いかけに反応することもなければ、喜怒哀楽を感じることもない、人(ヒト)としては生きていても、人間(ニンゲン)しては死んでいる、と言えるのかも知れません。
大脳が生きているにもかかわらず、ただ何も感じることがなく、無感情に生きているだけの状態というのは、極端な言い方をすれば、限りなく死に近い状態、と解釈できなくもない気もします。
人が喜怒哀楽を感じなくなってしまう根本的な原因を考えますと、1つに慣れがあると思います。恋人ができたばかりの頃は、恋人の振る舞いや反応に一喜一憂した経験は誰でも心当たりがあるでしょう。ですが、長く一緒にいる、同じような言動や振る舞いを繰り返しされますと、神経回路に慣れが生じ、喜怒哀楽への刺激が徐々に弱まっていきます。
ここで他の生物に比べ、人類の大脳が発達してきた歴史が証明しているように、人は大脳への刺激、すなわち喜怒哀楽を潜在的に求めているということです。
このことを踏まえた上で、人への振る舞いと反応を考えてみますね。
例えば、水商売や詐欺師の標的にされやすいのは、自己評価の低い人物です。その理由は、周囲から蔑(さげす)まれ、褒められる、チヤホヤされる経験に乏しいからです。甘い言葉が感情を大きく刺激し、言葉を掛けた人物に対して好意を抱きやすくなります。
これは、逆もしかりでして、褒められ慣れている、チヤホヤされ慣れている人物に対しては、普段は使われていない神経回路を刺激しないと、言葉や振る舞いはあまり響きません。内面的魅力を褒める、軽くけなす(プライドを傷付ける),罪悪感を抱かせるなどが効果的でしょう。
つまり人を口説こうとする、人の心に付け入ろうとする際の1つのポイントは、その人物が普段刺激され慣れていない神経回路を探すということです。その人物が普段、周囲の人からどのように扱われているかを考えることがよい判断材料になると思います。
人を含む生物には、慣れと対極的な反応として、鋭敏化や脱慣れというものがあります。これは、刺激されたことのない部分(領域)を刺激されることで、今まで以上に過剰に反応してしまう、慣れがリセットされてしまうというものです。このあたりのことを踏まえて恋人や意中の異性への日々の対応を考えますと、とるべき言動や振る舞いが自ずと見えてくるのではないでしょうか。
(記事:スタッフ)